
借金を任意整理して毎月分割で返しているんだけど、毎月の返済が苦しくて・・・。どうにかならないかな・・・。
毎年、日本で任意整理をしている人の総数は300万人~500万人ほどいると言われています。
その内の3割の人が、毎月の支払いに苦しんでいるそうです。
借金の支払いが苦しい為に任意整理をしたのに、任意整理後でも支払いが苦しくなる人は数多く存在します。
では、任意整理した後に支払いが苦しくなった場合に、どうにかする方法はあるのでしょうか。
この記事では、任意整理後に支払いが苦しくなった場合の対処法を解説していきます。
僕自身、任意整理や自己破産の経験者です。
経験者の目線から、分かりやすく解説していくので是非参考にしてください。
任意整理から個人再生への切り替えは可能なのか?

任意整理から個人再生への切り替えは可能なのか?
任意整理和解交渉中の場合
弁護士や司法書士に任意整理を依頼して、現在貸金業者と和解交渉中の場合、任意整理から個人再生への切り替えは可能です。
任意整理は、基本的に将来の利息のカットを交渉します。なので、今現在の借金が減る事はありません。
月々の返済額も任意整理前と任意整理後とあまり変わらない場合もあります。(ただし利息は無くなるので完済までは早くなります)
任意整理を依頼する時点で、毎月どの程度の金額を返済することになるのか、どの程度の返済なら生活に影響がないのかをしっかりと確認することが重要です。
任意整理和解済みで支払い中の場合
すでに弁護士や司法書士に任意整理を依頼し、貸金業者との和解交渉も終わり、返済を始めている場合も、任意整理から個人再生への切り替えは可能です。
任意整理は、あくまで弁護士や司法書士と貸金業者の間で交渉するものです。これに対し、個人再生は裁判所に申し立てを行います。
まったく別処理になるので、切り替えることは可能なのです。
任意整理から個人再生へ切り替えるメリット
任意整理から個人再生へ切り替えるメリットは以下の通りです。
- 借金額が大幅に減額される
- 月々の返済額が少なくなる
借金額が大幅に減額される
任意整理は将来の利息のみがカットされるので、元金は減りません。
一方、個人再生は1,500万円までの借金なら5分の1にまで減額されます。しかも、任意整理と同じように住宅や車を手元に残したまま処理が出来るという利点もあります。
例えば、現在任意整理で400万円の借金を3年間をかけて返済している場合、個人再生を行えば借金は100万円にまで減額されます。
この場合、毎月の支払いは以下のように変化します。
借金額 | 毎月の返済額 | |
任意整理 | 400万円 | 約11万円 |
個人再生 | 100万円 | 約3万円 |
毎月の支払額がかなり変わってくるのが分かりますね。
月々の返済額が少なくなる
上記で説明したように、月々の返済は大きく減ることになります。
任意整理から個人再生へ切り替えるデメリット
任意整理から個人再生に切り替えをすることのデメリットは以下の通りです。
- 弁護士や司法書士費用が別にかかる
- あまり高額でない借金(100万~200万円ほど)は、逆に任意整理の方がお得な場合もある
- 官報に再生者情報として住所と氏名が掲載される
弁護士や司法書士費用が別にかかる
任意整理和解交渉中の場合は、ひょっとしたら個人再生だけの費用で済む可能性はあります。
ただ、任意整理の和解交渉が終わり、すでに支払い中の場合は、少なくとも個人再生の弁護士費用が別に必要となるでしょう。
弁護士によっては通常の費用よりも減額してくれる場合もあるかも知れませんが、もともと個人再生の費用は高めなので注意が必要です。
あまり高額でない借金(100万~200万円ほど)は、逆に任意整理の方がお得な場合もある
任意整理は将来の利息のみがカットされるので、結果として今ある元本は変わりません。
それに対して個人再生は、住宅や車を手元に残したまま、借金額が5分の1まで減額されます。ただし、500万円以下の借金は100万円までの減額までとなります。
つまり、借金が120万円であったとしても減額は100万円までしかできないのです。これでは費用を合わせると逆に借金が増えてしまいます。
なので、借金額が100万円~200万円の人は個人再生には向いていないかもしれません。
官報に再生者情報として住所と氏名が掲載される
これは、任意整理にはないデメリットです。
官報は裁判所が発行する機関誌ですが、個人再生するとここに再生者として住所と氏名が掲載されます。
しかし、官報は一般の人はまず見ることがありません。
親や会社、友人知人にバレてしまう可能性は低いでしょう。
任意整理から自己破産への切り替えは可能なのか?

任意整理から自己破産への切り替えは可能なのか?
任意整理和解交渉中の場合
弁護士や司法書士に任意整理を依頼して、現在貸金業者と和解交渉中の場合、任意整理から自己破産への切り替えは可能です。
自己破産は、全ての借金が無くなる処理です。その分デメリットもあるので、十分に考えてからの変更をお勧めします。
任意整理和解済みで支払い中の場合
すでに弁護士や司法書士に任意整理を依頼し、貸金業者との和解交渉も終わり、返済を始めている場合も、任意整理から自己破産への切り替えは可能です。
自己破産は、個人再生と同じように裁判所に申し立てをする処理となります。
任意整理とは性質が異なるので、切り替えは可能になります。
任意整理から自己破産へ切り替えるメリット
任意整理から自己破産へ切り替えるメリットは以下の通りです。
- 借金が全て無くなる
借金が全て無くなる
これは債務整理の中でも最も大きなメリットです。
今後の返済を考えなくて良くなるのは、精神的にもかなり大きくなります。
任意整理から自己破産へ切り替えるデメリット
任意整理から自己破産へ切り替えるデメリットは以下の通りです。
- 弁護士や司法書士費用が別にかかる
- 官報に再生者情報として住所と氏名が掲載される
- 高額な財産(住宅・土地・車等)が裁判所に接収される可能性がある
- その他の自己破産のデメリット
弁護士や司法書士費用が別にかかる
自己破産の弁護士費用は高額ですし、別途裁判所への費用も掛かります。
それでも、借金額が大きい場合には自己破産はかなり有効な手段と言えます。
自己破産は、借金額が大きければ大きいほど効果がでます。逆に言えば、少額の借金の場合はデメリットの方が大きくなるかもしれません。
官報に再生者情報として住所と氏名が掲載される
自己破産では、申し立ての時と免責が下りた時(自己破産が決定した時)の2回、官報という裁判所が発行する機関誌に、自己破産者として住所・氏名が掲載されます。
ただし、官報は一般の人はまず見ません。会社や家族、知人等に自己破産を知られることは限りなく低いと言えます。
実際、自己破産経験者の僕も誰にも知られていません。
高額な財産(住宅・土地・車等)が裁判所に接収される可能性がある
これは自己破産で最大のデメリットと言えます。
20万円を超えるような資産(住宅・土地・車等)は、裁判所に接収・換金されて、債権者に分配される可能性があります。
車に関しては、新車登録から5年以上経った車は、価値があると判断されない事が多いようです。必ず取られる訳ではありませんし、僕も取られていません。
逆に言えば、資産を持たない人は、自己破産の最大のデメリットが無いという事になります。自己破産を決断できる大きな理由となるでしょう。
その他の自己破産のデメリット
その他の自己破産のデメリットは以下のようなものがあります。
- 自己破産申し立てから免責が下りるまで、一部の職業や資格が制限される
- 免責が下りるまでの間、旅行や引っ越しが制限される
- 免責が下りるまでの間、郵便物がチェックされる
任意整理後の支払いが出来ない時の対処法

任意整理を頼んでいる弁護士に相談する
任意整理後に毎月の支払いが苦しくなった場合は、任意整理を頼んでいる弁護士や司法書士に相談してみましょう。
振込先が弁護士宛になっている場合は、1ヶ月は待ってもらえる可能性もあります。
ただし、毎月支払いが苦しい場合は、弁護士や司法書士へ債務整理の切り替えを相談した方が良いでしょう。
新しく弁護士や司法書士を探して相談する
もし、新たに弁護士や司法書士を探して相談する場合は、なるだけ債務整理に強い弁護士や司法書士を選択する必要があります。
なぜなら、弁護士や司法書士の力量によって、個人再生や自己破産が上手くいくかどうか決まる部分も大きいからです。
まとめ
この記事のまとめをしていきます。
- 任意整理和解交渉中から、個人再生・自己破産への切り替えは可能
- 任意整理和解済みから、個人再生・自己破産への切り替えは可能
- 切り替えの場合は、費用が別に掛かるので注意する
- 個人再生・自己破産への切り替えは、デメリットをきちんと理解する
- 任意整理中の支払いが苦しい場合は、今の弁護士・司法書士に相談してみる
- 別に弁護士・司法書士を探す場合は、債務整理に強い所を探す
任意整理は、和解交渉が完了して終わりではありません。支払が始まってからが本当の始まりです。
本来なら任意整理前に、毎月どの程度の返済になるのか?どの程度返済しても生活が出来るのか?などをよく考えておくべきです。
ただ、任意整理中に何らかの原因で毎月の支払いが出来なくなることもあります。
そのような場合は、個人再生や自己破産に切り替えが出来るという事を知っておくだけでも心に余裕が出来ます。
自分にとって、どの債務整理が一番適しているかを理解して、1日も早く新しい人生を踏み出しましょう。
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